支援をご検討しているみなさまへ法人後見について

法人後見とは

法人後見とは、社会福祉法人や社団法人、NPO法人などの法人が成年後見等になり、ご親族等が個人で成年後見人等に就任した場合と同様に、判断能力が不十分な人の保護・支援を行うことを言います。
法人後見では、法人の職員が成年後見制度に基づく後見事務を担当して行います。担当している職員が何らかの理由でその事務を行なえなくなっても、担当者を変更することにより、後見事務を継続して行うことができるという利点があります。

法人後見の活動と意義

権利擁護や福祉・法律の知識や技術をもった法人が、成年後見制度の担い手として活動することは、適切な支援ができるというだけではなく、自らが持つネットワークの知見や情報を活用し、素早い対応ができたり、いままで支援してきた人が何らかの理由で支援できなくなった場合に、すぐに代わりの人を選んで支援を引き継いでもらえるというメリットがあります。今後、権利擁護についての知識がある法人の皆さまにも、ご参画いただければと願っています。

成年被後見人等がまだ若い場合など、長期にわたる伴走が必要な案件では法人後見が有効です。また、法人の中で役割分担もできるので、負担の大きい案件でも対応しやすいという利点もあります。
地域の中に様々な強みを持った法人後見が増えていくことを期待しています。

同志社大学社会学部教授・社会福祉士 永田 祐氏

法人の皆さまよろしくお願いいたします

法人後見に向けた体制づくり

まず、法人後見の担当者が代わっても、同じ考え方や姿勢で継続して後見業務が継続できるように、法人内で、権利擁護支援に対する意識統一を図る必要があります。受任方針の確認、業務の継続を見据えた財源の確保、効率的な担当職員の配置、今後に向けた人材育成のしくみ、後見業務の協力者となる専門家チームとの地域連携ネットワークの確保と拡充など、持続可能な体制づくりが必要となります。

会議のようす

呉市社会福祉協議会では、法人後見の体制づくりのひとつとして、月に一度、地域の各所属団体から推薦された弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士、行政書士、社会福祉士、精神保健福祉士、地域包括支援センター職員、呉市役所職員が参加する呉市権利擁護センター運営委員会を主催し、法人後見を実施している団体への支援などをはじめ、情報共有や連携の強化に努めています。

後見活動は、士業の方々や施設職員、ケアマネジャー、ヘルパーなど、地域で被後見人さんに寄り添ってくださっている皆さんとの緊密な連携・協力のもとに成り立つものだと、考えています。このネットワークや、関係性があるからこそ、法人後見を受任することができています。

呉市社会福祉協議会 近藤吉輝さん

利用者の声

自分が担当できなくなっても、別の職員へすぐに引き継ぎができますし、
困った時に法人内で相談し合うこともできる
ので安心です。

広島県呉市 呉市社会福祉協議会 呉市権利擁護センター 岡村桃子さん


後見活動が長年に渡る場合には、長期伴走ができる法人後見はとても意義があると思っています。負担を分担し合えるということもあります。後見活動に協力してくれる専門家の皆さんともネットワークを築いて、お力添えいただくことによって、少ない人数でも多くの方の後見人等を受任することができていると思います。

社会福祉法人が法人後見になっていただいているので、
介護のこともよく理解していただけて、本当に助かっています。

神奈川県厚木市 特別養護老人ホーム「あつぎポポロ」施設長 畠山香織さん


同じ介護に携わる社会福祉法人の方々なので、施設の中で被後見人さんがしてほしいことや、やってほしいことをすぐに判断してくださいますし、ご本人や施設と一緒になって考えてくださいます。時には同業者の厳しい目でご指摘を受けることもあります。私たちが見落としていたことに気づかされることで、サービスや支援の改善にもつながっています。

近年では身上保護を重視すべき被後見人さんたちが増えています。
そのような場合は、社会福祉法人さんの得意分野だと考えています。

神奈川県厚木市 厚木市社会福祉協議会 厚木市権利擁護支援センターあゆさぽ 重松 彩さん


市内に施設を有する社会福祉法人さんに対して、情報交換会や研修などを開催し、法人後見を担っていただけるよう、お声がけをしています。ゆくゆくは法人後見を通じて、お互いの施設に入ってらっしゃる方の後見人等を担っていくことによって、法人さん同士の風通しがよくなり、相乗効果で地域の活力が生み出されることにも期待しています 。

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